Tokyo International Clinic

メディカルコラムMEDICAL COLUMN

峯岸 祐之 東京国際クリニック / 形成外科  毛髪治療 美容外科
メディカルコラム vol.34
夏もきちんと発汗を。多汗症の最新治療
峯岸 祐之東京国際クリニック / 形成外科 毛髪治療 美容外科

汗のはたらきと生活制限

汗をかくことは、暑い環境などにいることで体温が上がらないようにする体の自然な反応ですから悪いことではありません。ただ社会的な意味では汗をたくさんかいていると清潔感がなくなることもあり、ご本人も汗をかいていることが気になって、仕事に集中できないということもあり得ます。
そのような意味で、治療で汗をゼロにする必要はありませんが、流れ落ちる汗を抑えてあげるということは必要かもしれません。特に気にされるのは脇の下や掌、額の汗です。特に掌の汗で悩んでいる方にとっては、社会生活上とても深刻な問題です。書類が汗で濡れてしまったり、握手をする相手に嫌な顔をされたとお悩みの方もいらっしゃいます。

汗の量と臭いを検査

「汗をかいて臭いもきついので困る」と言われる方には、脇に15分間ガーゼを挟み、その量と臭いをチェックします。臭いは客観的なものなので、本当にその方から出ている臭いなのかを調べる必要があるのです。
臭いが強い方は男性に多く、女性の場合それほど多くはありません。汗の量が臭いの強さというわけではなく、汗が少なくても臭いの強い方もいらっしゃるので、治療するかどうかそこが難しいところです。治療が必要な場合は、どのように進めるかご提案させていただきます。

汗には2つのタイプ

汗には、暑い環境のときにかく汗と、会議での発表や要人との応対など緊張したときにかく汗の2つのタイプがあります。緊張したときの汗は少なくても臭いが強く出るということもあります。臭いが強い方には、手術による治療をお勧めすることもあります。
神経の緊張による掌の汗を抑える治療は、「胸腔鏡下手術」で胸の中の神経を焼き切るという方法ですが、欠点として「代償性発汗」が挙げられています。脇の下の汗は減るのですが、その分、下半身や背中に汗をかきやすくなる方もいます。

汗をたくさんかく方へ、もう一つのアドバイス

掌(てのひら)や脇など体の限られた部位に汗が出る「局所性多汗症」であれば、病気の症状の一つとは考えにくいのですが、その部位以外にもたくさん汗をかく場合には、このような病気を疑う必要があります。

疑われる病気の一例
甲状腺機能亢進症
手の震えなどもみられます
糖尿病
のどが渇き、息が甘く感じられます
更年期障害
のぼせ、ほてりなども感じられます
パニック障害
めまい、はげしい動悸、呼吸困難を伴います
自律神経失調症
動悸、めまい、腹痛・下痢など、原因がはっきりとしない症状がみられます

これらの病気の可能性がありますので、いつもと違う症状や異常を感じられましたら、直ぐに医師の診断をお受けください。

臭いが強くなる食生活

食生活については、動物性の蛋白質を多めに摂る方や、香辛料が大好きという方には汗の臭いが強く出ることも多いようです。例えば、ランチでスパイスの効いた激辛カレーを食べて油っぽい汗がどっと出ると、どうしても臭いが強くなる傾向が見られます。その後、午後の会議で臭いに敏感な女性社員に指摘されてしまったという話もお聞きします。普段からの食生活も、汗や臭いとの関わりが大きいと言えるでしょう。

汗の管の数と乳児期の環境

実は汗の管の数というのは、出生直後から半年くらいまでの環境で大きく変わるという報告があります。ですから、乳児期に温度や湿度が高い環境下で育つと汗の管の数は増え、逆に涼しいところで育つと汗の管の数が少ないということです。「汗っかき」というのは遺伝もありますが、乳児期の育った環境(温度・湿度)も影響していると思われます。またわきがに関しては、遺伝的な要素が大きいと言われています。日本人にはそれほど多くはないのですが、逆に周囲にあまりいない分、臭いの強い人は「あれ?」と思われてしまうことも少なくありません。

制汗剤のタイプも多様に

最近の制汗剤には、スプレーの他にスティックやクリームのように塗りこむタイプなども開発されています。塗るタイプの制汗剤には、塩化アルミニウムが含まれていて、それを塗ると皮膚の汗の出口が少し塞がれるようなものもあり、手軽に購入することができます。

ボトックス注射による治療

脇の下の汗をかく部分というのは、女性ではハガキ半分くらい、男性ではハガキ1枚分くらいの面積です。ボトックス注射をする前に、まず麻酔のクリームをその部位に塗り、1.5cm~2cmくらいの間隔で注射をしていきます。女性では面積が狭いので20か所くらい注射をすれば効果が表れます。麻酔の効き方にもよりますが、全体では20分くらいの施術です。このボトックス注射療法は3か月から半年くらい効果が維持しますので、暑い夏が来る前のこの時期に注射療法を行い、汗をかきにくくなる秋にボトックスの薬効が切れてくるというイメージです。
なお掌については、注射剤では痛みも強くなるので、まずは塗薬から治療を始めることが多いです。

MRCP画像
ボトックス
FDAの承認を受けたALLERGAN社製。厚労省も認可済み。東京国際クリニックでは、注入剤も安全性が高いもののみを採用しています。

夏もきちんと汗をかくことが重要

夏にはクーラー漬けなどであまり汗が出ないという方もいらっしゃいますが、あまり汗をかかないと、その分かいたときには濃い汗となり、臭いも強くなりがちです。やはり定期的にスポーツなどで体を動かし、きちんと汗をかくことも大切だと思います。
たくさん汗をかくと臭いを気にして体を洗い過ぎてしまい、皮膚に負担をかけることがありますので、注意が必要です。夏はシャワーでこまめに汗を流すことで、気になる体臭の元を抑えることが出来ます。

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