Tokyo International Clinic

メディカルコラムMEDICAL COLUMN

峯岸 祐之 東京国際クリニック/形成外科 毛髪治療 美容外科
メディカルコラム vol.11
ボトックスについて
峯岸 祐之東京国際クリニック/形成外科 毛髪治療 美容外科

千葉大学医学部卒、東京大学医学部附属病院形成外科、武蔵野日赤病院形成外科、神奈川クリニックを経て、東京マキシロフェイシャルクリニックに勤務。2015年7月から現職に。

ボトックス

美容整形というと「手術などによって、顔や身体の部分の形を変える」というイメージがありますが、当院の形成外科は、シワの刻まれた今の顔を、若い頃の、以前の自分の顔に戻すというQOLの向上を目的とした治療を行う、いわば広い意味での美容治療を行っています。

シワの治療というと有名なのはヒアルロン酸注射とボトックス注射による治療でしょう。どちらもお顔の気になるシワに注射するだけで、シワを浅くすることが出来る画期的な治療です。今回はボトックス注射について詳しくご説明します。

シワを取る注射「ボトックス」という治療法をお聞きになったことのある方も多いと思います。ボトックスとは、ボツリヌス菌の毒素を化学的に加工したものです。ボツリヌス菌というと、日本では1984年に起こった辛子レンコン食中毒事件が記憶にある方も多いでしょう。この食中毒の原因になったのがボツリヌス菌の毒素で、世界でも10番以内に入るほどの強力な毒素です。でも安心して下さい。ボトックスは、このボツリヌス菌の毒素だけを取り出し、化学的に安定化させて作られた薬品です。もちろんボツリヌス菌自体は薬剤には入っていませんので、注射したからといって体内に菌が入ってしまうことはありません。

ボツリヌス毒素は分類上、神経を麻痺させる神経毒に該当します。神経に働きかけるこの毒素を治療目的に活用できないかという考えから、薬品として利用される様になりました。最初は眼科の斜視の治療で、強く働き過ぎる目の周りの筋肉の動きを少し弱くする目的で使われたのが初めです。次いで顔面けいれんや眼瞼けいれんなどの目の周りの表情筋が無意識に過剰に働くのを抑える目的で使われました。このボツリヌス毒素は筋肉に「動きなさい」と指令を与える運動神経が筋肉に接合する部分を遮断してくれるのです。つまり筋肉自体や神経そのものが毒素でダメージを負う訳では無いのです。そのため、治療後3日位で効果がみられ始め、薬の効き目が切れてくる3ヵ月~6ヵ月後には、また筋肉の動きは復活してきます。組織を傷害することが無いという点では安心できる治療です。

このボツリヌス毒素を加工した薬品のボトックスに治療は、無意識のうちに出てしまうシワの治療にとても有効です。例えば、目が悪い方がハッキリ見ようと目を細めるときや、まぶしくて目を細める無意識の動作の時に眉間(眉毛と眉毛の間)に縦ジワが出来たりしますよね。この動作が繰り返されて習慣化すると、自然に眉間や額に深い縦のミゾが出来てしまいシワになります。こういったシワは、表情筋の動きで出来てしまうシワです。ですから、ボトックスをシワの元になっている表情筋に極少量注射することでシワの筋肉の過剰な動きを抑制します。するとシワを浅くすることが出来るのです。この治療の最大の利点は、時間が経つにつれて効き目が弱くなるので元にもどすことが出来ます。とても素晴らしい効果を体感できる治療なので、本来は長く効いてくれた方が良いと思いますが、この治療が自分には向いていなかったと感じた時など、待っていれば薬剤の効果が切れるので安心感があります。また繰り返し注射をすることで、次第に筋肉が慣れてきて注射を打たなくてもシワが出にくくなっていきます。

ボトックスはシワの治療だけでなく、小顔効果(エラ)や多汗症(ワキ)の改善など、素晴らしい効果を体感できる画期的な治療法です。ビックリするような効き目できっと皆さんのQOLを向上させてくれるはずです。

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