Tokyo International Clinic

メディカルコラムMEDICAL COLUMN

塚田 紀理 東京国際クリニック / 一般内科・呼吸器科・抗加齢医療
メディカルコラム vol.4
COPD(たばこ病)の診断と治療
塚田 紀理東京国際クリニック / 一般内科・呼吸器科・抗加齢医療

東京国際クリニック / 一般内科・呼吸器科・抗加齢医療
医学博士 日本医師会認定産業医、日本外科学会外科専門医、帝京大学医学部卒業、帝京大学医学部付属溝口病院外科、川崎市川崎病院 外科 / 総合診療科、慶応義塾大学医学部呼吸器外科 助教、川崎市立川崎病院 呼吸器外科 副医長
六本木ヒルズクリニックを経て2015年より東京国際クリニック / 医科非常勤勤務

世界で年間約300万人が死亡

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、呼吸器領域での代表的な疾患です。以前は「肺気腫」「慢性気管支炎」という名称でしたが、現在はCOPDに統一されています。COPDは、気道の一番末端にある肺胞が破壊されたり、気道の炎症が起きて呼吸困難となり、最悪は死に至るという疾患です。世界で年間300万もの人がこのCOPDで亡くなっています。年々患者数は増加しており、2030年までには世界の主要死因の第3位になると予想されています。

心疾患や感染性疾患などが死亡率を低下させているのとは対照的に、COPDの死亡率は上昇傾向にあり、国内の死亡者数は昨年の調査では15,686人でした*1国内のある調査では約530万人の隠れ患者さんがいるとのことですが*2受診しているのはわずか26万人で*3、その差は大変大きくなっています。つまり多くのCOPD患者さんが自覚もなく生活されているということです。さらに、COPDを含めた呼吸器疾患における国内年間医療費は約2兆1,500億円余りで*4、これも大きな社会問題になっています。

原因は喫煙や受動喫煙

COPDの原因は明確です。これほど原因と疾患の因果関係が明確な例も少なく、それは喫煙や受動喫煙です。厚生労働省もCOPDという名称ではわかりにくいため「たばこ病」と名づけて禁煙キャンペーンを行っていますが、なかなか効果は現れていません。
COPDの有病率を調べたデータでは、現在喫煙している人で12.3%、過去に喫煙していたという人でも12.4%にCOPDが発症しています*5。傾向としては喫煙開始年齢の若年化が進んでいるというデータもあり*6、近年はCOPD=高齢者という図式が成り立たなくなってきています。
また、女性の喫煙者にCOPDが発症しやすいという報告もあり、喫煙率が低いとはいえ女性も注意が必要ですし、ご家族の喫煙者からの受動喫煙についてもしっかりとチェックすることが大切です。

COPDの診断と治療

COPDの症状は、主にせきと痰が比較的長く続くことです。喫煙者がよくせき込んでいるのを目にすることがありますが、COPDはゆっくりと進行していきます。さらに進むと、歩いていても息切れがして、徐々に呼吸をすることが難しくなります。
検査は「6分間歩行検査」で、6分間歩いていただきその間の血中酸素濃度を測る検査や、当クリニックの人間ドックのメニューの中にもスパイロメーターを使った検査があります。さらに肺のレントゲン、CT、心電図などで診断します。
治療に関しては、さらに悪いことにCOPDの症状は「不可逆的症状」といい、治療をしても元には戻らないという意味です。一旦壊れた肺胞を元通りに修復する治療法は、まだないというのが現状です。ですから初期には、気管支を拡張させる薬、気道炎症を抑える薬、せきを止める薬や痰を出やすくさせる去痰剤。また重症になると酸素療法を採用します。
加えて、呼吸筋を鍛えるための「口すぼめ運動」を採り入れた呼吸器リハビリなども行って、何とか現状維持をめざします。

予防的治療は絶対禁煙

酸素療法までいかない軽症の間に禁煙することが絶対必要です。しかし喫煙は精神的な快楽習慣なので他の生活習慣病と異なり、なかなか実行できない方が少なくありませんでした。当クリニックでは「禁煙外来」を設けてご相談をお受けしています。禁煙外来では、飲み薬を使って徐々に禁煙効果を上げ、12週間後に効果を評価して診察を終えます。現在のところ、この禁煙療法での成功率は約50%です。
COPDを発症する前に、ぜひ1日でも早く当クリニックの禁煙外来にご相談いただければと思います。

  • *1厚生労働省平成28年人口動態統計(確定数)の概況より「日本におけるCOPD死亡患者数」(1996年-2016年)
  • *2Fukuchi,Y.,Nishimura,M.,Ichinose,M., et al: COPD in Japan: the Nippon COPD Epidemiology study,Respirology,9:458~465,2004(NICE study)
  • *3厚生労働省「平成26年患者調査の概況」より *4 厚生労働省「平成25年度国民医療費の概況」より
  • *5Fukuchi,Y.,Nishimura,M.,Ichinose,M., et al: COPD in Japan: the Nippon COPD Epidemiology study,Respirology,9:458~465,2004(NICE study)
  • *6Minowa,M.,Osaki,Y. :Harmful Influence of Smoking Initiation at an Early Age which Appear during Adulthood, J.Natl. Inst. Public Health,54(4):262~277,2005
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