Tokyo International Clinic

メディカルコラムMEDICAL COLUMN

高橋 通 東京国際クリニック/歯科 院長
メディカルコラム vol.10
眠りを妨げる「睡眠時無呼吸症候群」をご存知ですか?
高橋 通東京国際クリニック/医科 院長

循環器専門医 医学博士
国立国際医療研究センター、六本木ヒルズクリニックを経て、2015年5月から東京国際クリニック/ 医科 院長。

睡眠

今回は「睡眠」をテーマにお話いたします。医学的には、やはり睡眠時無呼吸症候群が大きな課題となりますね。睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる疾患として、循環器科の視点から考えますと、高血圧を合併する確率が高くなります。これは、交感神経が夜間も興奮した状態になるからです。夜間の血圧が高くなり、それが心臓や脳の血管の負担となって、やがては心筋梗塞や脳卒中になる危険性を高める病態と言えます。

一般的に睡眠時無呼吸症候群によって生じる日中の眠気は、判断力、集中力の低下から交通事故を起こすなど社会的リスクも重大ですが、身体の中では交感神経が興奮している状態が続いて血圧が高くなり、やがて、動脈硬化や心疾患を引き起こす可能性があるわけです。また、熟睡できないことで成長ホルモンの分泌も減ることにより、肥満を誘発し、肥満になればさらに睡眠時無呼吸症候群が悪化してしまうというメタボリック症候群の負のスパイラルに陥る原因にもなります。たとえば、体重が多く首が短い体型で鼾をかく人の場合、高血圧の治療、コレステロールの治療、糖尿病の治療を内服薬で治そうと思っても難渋することがあります。もし、この方が睡眠時無呼吸症候群を持っていて、無呼吸の治療を開始すると、今度は良いスパイラルに入り、これらの生活習慣病の改善にも期待ができるのです。そういう観点からは、睡眠時無呼吸症候群の治療は、枝葉末節ではなく幹の部分を占めていると言えます。

睡眠時無呼吸症候群には中枢性と閉塞性があります。中枢性は脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常です。閉塞性は首が太くて短い、あるいは、あごが小さく寝る時の首の角度や舌の沈下で気道を閉塞してしまうなどのケースです。後者の場合は、CPAP治療や、マウスピース治療が効果的です。当クリニックでは、高血圧や糖尿病などの治療でも、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか鑑別し、効果的な治療を目指しております。

寝ている間の無呼吸に、ご自身ではなかなか気づくことができないため、多くの潜在患者がいると推測されます。ご心配な方は、ぜひご相談ください。

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