Tokyo International Clinic

メディカルコラムMEDICAL COLUMN

横山 智子 東京国際クリニック / 歯科 歯科衛生士(チーフ)
メディカルコラム vol.44
歯周病予防の第一は歯垢を落とすブラッシングから(前編)
横山 智子東京国際クリニック / 歯科 歯科衛生士(チーフ)

歯周病はどのようにしてなるのか

歯周病は細菌による感染症です。歯の表面には歯垢(プラーク)と呼ばれる汚れがつきます。歯垢は食物の食べかすではなく細菌の塊です。その細菌が毒素を発して歯茎に炎症を起こします。
歯と歯茎の境目にはもともと歯肉溝という1~2ミリのすき間がありますが、時間の経過とともに歯肉溝の中に歯垢が溜まってしまい、それがブラッシングで取りきれないと、そこから細菌が増殖し始めます。やがて歯茎に炎症が起こり、赤く腫れて出血するなどの症状が現れます。それが歯周病の始まりです。
歯周病菌の最大の特徴は、空気が嫌いな嫌気性菌だということです。歯垢が溜まった状態を放置してしまうと、歯周病菌は空気の届かない場所を求めて、さらに奥へと潜り込みます。炎症が強まることで溝の深さはさらに深くなり、「歯周ポケット」と呼ばれる状態に進行します。
症状が進むと、歯を支える骨が溶け始め、歯茎からは膿や血が出て口臭は強くなり、次第に歯がぐらぐらと揺れ出して、支えを失った歯はやがて自然と抜け落ちてしまうのが歯周病です。

ブラッシングの重要性

歯周病は歯垢の中に潜む歯周病菌が原因で起こる歯茎の感染症です。歯周病を予防、あるいは治療を成功させるためには、原因である歯垢を徹底的に除去し、歯周病になりにくい口腔内環境をつくることが重要です。いくら診察室で治療をおこなっても、患者様ご自身による適切なブラッシングができていなければ、数時間後には歯垢はすぐに形成されていきます。歯周病にならないためには、細菌の侵入口となる歯と歯茎の境目(歯頸部)をきれいにする必要があります。
歯周ポケットの奥に溜まった歯垢や歯石に関しては、歯ブラシだけでは届かないので、歯科医院で専用の機器を用いた歯周病治療に移ります。歯科医院での歯周病治療の中心となるのは、歯茎から下(歯肉縁下)の歯垢・歯石を除去することです。一方で、歯茎から上(歯肉縁上)の歯垢は患者様の毎日のブラッシングによって、徹底的に取り除いていただく必要があります。
歯周病は原因を除去さえすれば「治る病気」です。原因となる歯垢をきちんと除去することが何より重要ですし、歯科医院による一方通行の治療だけでは歯周病を完治させるのは困難です。ブラッシングは、患者様ご自身でできる唯一の「治療」であり、再発防止につながるためにできる唯一の「予防」です。

プラークコントロールレコード(PCR)について

歯垢は歯と似た色をしており、ブラッシングをしても残っているか確認することは非常に困難です。
そこで歯垢だけを赤く染める薬剤で口腔内を染色します。どの部分に歯垢が残っているのか口腔内の清掃状態を数値化したものがPCRです。重症の歯周病では、PCRが20%以下になった時点で「ご自身によるブラッシングは大丈夫」ということが言えます。

ブラッシングに個々の癖

ブラッシングには個人個人で“磨き癖”があります。毎日おこなっているものなので、習慣からくるものもありますし、歯並びによる影響も考えられます。
自己流のブラッシングでは、プラークコントロールレコードを20%以下にすることはなかなか困難です。歯周病や虫歯を予防・治療するためにも、歯科医院で適切なブラッシング法の指導をお受けいただく必要があります。

ブラッシングのご指導

東京国際クリニック / 歯科では、治療をお受けいただくすべての患者様にブラッシングのご指導をさせていただいております。歯周病の重度の方には、1回1時間、5回ほどお時間をいただき、お一人おひとりの口腔内の状態に合わせた丁寧なご指導を心掛けています。また、ご指導後しばらくしてチェックさせていただくと、元のご自身の磨き癖に戻ってしまわれる方もいらっしゃいますので、1年に何回かはチェックをさせていただきたいと思います。

次号では、いよいよ具体的なブラッシングの方法についてご説明します。ご期待ください。

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