Tokyo International Clinic

メディカルコラムMEDICAL COLUMN

清水 智幸 東京国際クリニック / 歯科
メディカルコラム vol.7
全身の疾患につながる歯周病
清水 智幸東京国際クリニック / 歯科

歯学博士 歯周病専門医
東京マキシロフェイシャルクリニックより名称変更を経て
2015年7月より東京国際クリニック / 歯科 院長

誤嚥性肺炎の原因にも

歯周病は口腔内だけの病気ではありません。歯周病が進行すると、高齢者の方に多いとされている誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。「誤嚥」とは、口から食道へ入るべきものが気管に入ってしまうことです。誤嚥により口腔内の歯周病菌が唾液と共に肺の中に入り込むと、肺炎を起こすリスクが高まります。特に食物と細菌が同時に入ってしまうと重症化しやすいという報告があります。
その他、歯周病が引き起こす全身疾患では糖尿病が挙げられます。糖尿病にかかっている人は歯周病になりやすく、逆に歯周病に感染すると糖尿病になりやすいというデータもあります。
また、脳血管疾患や感染性心内膜炎、関節リウマチなども歯周病との因果関係があると言われています。

歯周病はなぜ起こるのか

こうした全身への影響がある歯周病はどのように起こるのでしょうか?歯周病菌はまず歯茎の炎症や出血を伴う「歯肉炎」を引き起こします。悪化すると歯を支える骨(歯槽骨)にまで影響を及ぼす「歯周病(歯周炎)」へと進行するのです。
初期の歯周病では、痛みなどの自覚症状が乏しいため異変に気付く人はほとんどいません。その後、出血が見られ、歯茎から膿が出たり、口臭がひどくなり、外見上は歯が長く見えてきます。これは、歯周病によって歯を支える歯槽骨が溶け出すことで歯茎が痩せて下にさがってくるためです。やがて歯がぐらついて最終的には抜けてしまうのです。

歯性病巣感染しせいびょうそうかんせん」とは

歯周病に感染すると歯茎から血管内に細菌が侵入し、血流にのって全身性の感染症を引き起こします。これを「歯性病巣感染」と言います。
しかし1013個も存在する口腔内の細菌は、全てが悪い細菌とは言えません。良い細菌も中には存在します。無害な細菌と害を及ぼす細菌とのバランスが重要です。加齢や体調により抵抗力が落ちてくると、どうしても害を及ぼす細菌の方が優位になり感染を引き起こしやすくなります。
ですから口腔内の細菌を全てなくす必要はありませんし、それは不可能なことです。どのようにして無害な細菌の割合いを多くするのかが歯周病予防のキーとなります。

全身疾患を診ながら進める治療

歯性病巣感染で感染が全身に広がっても、なかなか歯科と医科の連携が難しいのが日本の医療の現状です。歯科単独ではなかなか進める事ができない歯性病巣感染の治療は、当クリニックならではの「医科との強い連携」により可能となります。糖尿病や感染性心内膜炎であれば循環器専門の高橋院長、誤嚥性肺炎であれば呼吸器科の塚田医師らとタッグを組み、日々歯性病巣感染の治療を行っております。

予防は歯磨きと定期的なメンテナンス

歯周病を予防するには正しい歯磨きの実践と、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。もちろん、歯周病を予防する歯磨きの方法もご指導させていただいております。また、定期的なメンテナンスは口腔内の状態にもよりますが、3ヶ月から半年に1回程度をお考えいただくようにしております。
東京国際クリニック / 歯科では、歯周病治療こそがすべての歯科治療のはじまりだと考えています。当クリニックがご提供する独自の歯周病治療「PERIOD.®(ペリオド)」は、歯周病学の世界最高峰であるスウェーデン王立イエテボリ大学の基礎研究に基づいた治療法で、超音波スケーラーやアミノ酸パウダー、レーザーなどを口腔内の状態に応じて組み合わせて使用することで、歯周病菌を徹底的に除去していきます。

過去のメディカルコラム