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メディカルコラムMEDICAL COLUMN

峯岸 祐之 東京国際クリニック / 形成外科  毛髪治療 美容外科
メディカルコラム vol.24
お悩みの多いお顔のいぼ·ホクロ
峯岸 祐之東京国際クリニック / 形成外科 毛髪治療 美容外科

千葉大学医学部卒、東京大学医学部附属病院形成外科、武蔵野日赤病院形成外科、神奈川クリニックを経て、東京マキシロフェイシャルクリニック勤務。
2015年7月から現職に。

ご相談の多い顔の皮膚のお悩み

いぼやホクロを問わず、顔にできる「できもの」のご相談は少なくありません。よくあるのは額などに油の粒が溜まったようなブツブツ状で盛り上がるタイプのものや眼の下あたりにボツボツとしたものができたり、頬骨やこめかみに茶色のモコモコしたできものができたりといったご相談です。
また、「しみ」ではなく、盛り上がりがあり、ざらざらしているようなものやドーム型に盛り上がっているという「できもの」がお顔にできたという方からのご相談も多いです。
みなさん「何だかわからないけど、とても気になる」と言われることが多いですね。広い意味で、こうしたよくわからないものを「いぼ」や「ホクロ」と呼んでいることが少なくありません。

伝染するいぼは要注意

ひとことで「いぼ」と言っても老人性のものや扁平性のものなど種類がいくつかあります。老人性のいぼは、加齢とともに「しわ」と同じようにできることがあります。いぼは医学的には「疣贅ゆうぜい」といいます。
注意しなければいけないのは、ウイルス性のいぼです。ウイルス性のいぼは「尋常性疣贅じんじょうせいゆうぜい」といい、ウイルスが皮膚について皮膚を刺激し、モコモコした状態になります。
こうしたウイルス性のいぼは、うつることがありますからご注意ください。他の人だけでなく、ご自身の身体の各部位にうつり、例えば指先の爪の付け根がカサカサしたり、頭皮にもうつったり、足底で一見魚の目のようなものになったりしますから、早めに受診して除去することが大切です。
頬にできた最初は小さないぼが加齢とともに大きくなり、男性の場合、ひげを剃るときに引っかかったりします。
早い方では、40歳代くらいからお顔にできたいぼを何とか除去したいというご相談があります。

ホクロはチャームポイントか?

一方、ホクロは「黒子」とも書かれ、一概に悪いものではありません。「ホクロ占い」に使われたり、タレントさんにも「泣きぼくろ」など、ホクロをチャームポイントにされている方も少なからずいらっしゃいます。
鎌倉時代に「ははくろ(母黒)」がなまって「ホクロ」になったという説もありますが、両親がホクロが多いからと言って、遺伝的に子どもにもホクロが多いとは言い切れないようです。
やはり後天的に強い紫外線を浴びたり、連続した刺激を受けたり、ホルモンの影響が加わると、元々皮膚の下に潜んでいた「母斑細胞」が表面に現れて目立つようになりホクロとなります。母斑細胞自体は悪いものではありませんが、広い意味で「良性の腫瘍」と言えます。
ですからホクロ的には、ゴルフやテニスなどの屋外スポーツをされるときは、紫外線をカットする方法を考えた方がいいと思います。

手のひら、足の裏のホクロは危ない?

大変稀ですが、危ない種類のホクロもあります。危ないホクロとはどんなホクロでしょうか?これは「悪性黒色腫」と呼ばれ、がん化するホクロです。
特徴は、
• 色が真っ黒で艶がある
• 周囲に色のにじみがある
• 表面がジュクジュクしている
• 出血を繰り返す
• ここ2年くらいで急に大きくなった

このようなタイプは、悪いものの可能性がありますから受診が必要です。
昔から「手のひらや足の裏のホクロは危ない」と言われることがありますが、こうしたホクロも診察では医療用ダーマスコープで拡大して観察し、怪しいものがないかどうかを確認します。さらに組織をとって病理検査に出すことも可能です。

いぼ・ホクロの除去

除去は、ホクロやいぼの大きさにより変わります。小さいタイプでは、高周波の電気メスを使用します。これは高周波を使って焼き取るという機器で、出血も抑えられ母斑細胞ごと除去します。日帰りの手術で可能です。
大きいものは一般の手術用メスを使って除去し縫合します。いずれも局所麻酔を事前に行い、術後2時間ほどで麻酔も覚め痛みを感じることもほとんどありません。
シミの除去に使われるレーザー治療器は、いぼやホクロの除去にはあまり向いていません。レーザー治療器は対象物の色に反応し、表皮の色を薄くするという効果がありますが、いぼ・ホクロの除去では母斑細胞をいわば「削り取る」必要がありますので、このような高周波メスが適用になります。完全に取り切ったかどうかを術後病理検査に回し、確認する場合もあります。

施術は複数回でゆっくりと

ホクロが数多くある場合は、麻酔の注射をホクロごとに打たなければならないのでそのための痛みもあります。1回に数か所と決めて除去手術と処置を行い、数回に分けて施術を行うことをおすすめしています。
また一挙にホクロを取ると、一見したところ少し受ける印象も変わりますので、少しずつとっていくという方法を選ばれる方が多いようです。

いぼやホクロの除去でお悩みを解消

「人は見た目が9割」という本がベストセラーになるほど、対人的なコミュニケーションでは「視覚的な情報」は重要です。以前、人との会話の際に、鼻の横にあるホクロに先方の目線が集中していて、とても悲しい気分だったとおっしゃるお嬢様をお連れになったお母様がいらっしゃいました。こうしたいぼやホクロを安全に除去することで、深いお悩みが少しでも解消できればと思います。

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